冷えと漢方薬
- 恵子 丹羽
- 2021年1月24日
- 読了時間: 2分
更新日:2021年1月25日
冷えの治療は基本的に「虚証・実証」「気・血・水」を判断し漢方薬を
使い分けます。冷えている方は虚証であることが多いですが、中には
実証~中間証(虚証と実証の間)の方もいます。
冷えのタイプと個々の症状から判断する「気・血・水」の異常、それに
対する一般的な処方をご紹介します。
1全身の冷え(主に虚証)
体内の熱を作る力・新陳代謝が低下し、その結果全身が冷えるタイプ
食欲や気力が失われ、疲れやすくだるくなります。
✿気虚:食欲不振、疲労感、日中の眠気など
主な処方)人参湯、六君子湯、補中益気湯など
✿水毒:下痢、むくみ、めまい、関節痛など
主な処方)真武湯、桂枝加朮附湯、半夏白朮天麻湯など
2手足の冷え(主に虚証~中間証)
手足の先まで血のめぐりが悪く冷えを感じるタイプ
手足の痛いほどの冷え、しもやけ、下腹部痛など
✿血虚:貧血、肌の乾燥など
主な処方)当帰芍薬散、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、温経湯など
✿お血:月経不順・更年期、肩こり、便秘など
主な処方)加味逍遙散、桃核承気湯(実証)など
3冷えのぼせ(上熱下寒)
気や血のめぐりが悪く、顔・上半身がのぼせ下半身が冷えるタイプ
✿気逆とお血:更年期、いらいら、のぼせ、動悸、便秘など
主な処方)桂枝茯苓丸(実証)加味逍遙散(虚証~中間証)
4足腰の冷え(主に虚証)
加齢で成長や発育・生殖能を主る「腎(じん)」の気が不足しているタイプ
✿腎虚:体力低下、腰痛・しびれ、坐骨神経痛、夜間頻尿など
主な処方)八味地黄丸、牛車腎気丸など
5冷えの関わっている処方と症状
呉茱萸湯:頭痛や吐き気(体力が低下し、手足が冷えるような方)
五苓散:むくみ、頭痛、めまい、気圧の変化による不調(虚証~実証まで)
麻黄附子細辛湯:熱はないがあっても微熱程度、頭痛、寒気(体の弱い
高齢者、手足が冷えて寒気がある方)
私たちの体は、食べている物と体を動かすことで作られます。食生活と
日常生活をおろそかにしては、なかなか冷えはよくなりません。忙しく
ストレスの多い毎日ですが出来ることからこつこつと。生活習慣のアド
バイスもいたしますので、冷えが気になる方は受診をお勧めします✿
次回は深呼吸のことなど。
